召喚シャドール構築に関する理解の整理
最近某マスターデュエルさんで召喚シャドールデッキを使っていまして、一応プラチナまでは行ったので情報の整理をしようと思います。
プラチナlまではまだ行けてません。
[追記]
芝刈りに変えたらプラチナI行けました。芝刈り強い
マスターデュエルで数年ぶりに遊戯王復帰した初心者なのでこんな感じだと理解したよ〜みたいなやつです。
各シャドールカードはお手数ですが各自調べていただく感じでお願いします…
基本的にはプラチナlに行くまでの実体験を中心に書きますが、その他にも自分が参考にさせて頂いた記事,動画がございますので、まずはそちらの紹介をさせて頂きます。
【遊戯王】シャドール使いが教える!シャドール デッキの回し方・小技・テクニック紹介(その2)【リバース・オブ・シャドール 】
https://yamachi-9rakura.hatenablog.com/entry/2019/12/16/073000
シャドールのプレイング理論詳説
https://note.com/batteryman333/n/nec0dd6c56c3b
【マスターデュエル】15連勝‼召喚シャドール解説‼【遊戯王】
【遊戯王】デッキレシピ完全解説‼圧倒的制圧力!【召喚シャドール】
召喚シャドールデッキの考え方
召喚シャドールデッキは「融合を行い素材としてモンスターを墓地に送ること」、「融合モンスターを召喚すること」を通じて場をコントロールして自分に有利な展開、流れを作って勝つデッキです。
シャドールのゲームメイクは以下の二つのパートから成ります。
1. 相手を妨害し、こちらの有利な状況を作るために融合召喚を行うパート(メインパート)
2. 相手のLP(ライフポイント)を削り切り,ゲームに勝利するために融合召喚を行うパート(フィニッシュパート)
これらのパートを有利に進める為には、
「デッキ/手札/墓地にあるどのモンスターを使って、なんの融合魔法/罠を使ってどの融合モンスターをどのタイミング、チェーンで(フィールドのどこに)出すのか」
という、融合を行う行為そのものをどれだけ意図的に行えるか、が大切になって来ます。
前述の二つのパートをより具体的に説明すると、概ね以下のような動きになります。
1. エルシャドールミドラーシュによる特殊召喚制限で相手の展開を抑制しつつ、シャドール下級モンスターの墓地に送られた時の効果(Post in GraveでよくPig効果と略されます)で相手の行動を阻害し、自分に有利な状況を作る(メインパート)
3. 相手が崩れたところを一気にライフを削り切り勝利する(フィニッシュパート)
(※)シャドウルークによる相手のモンスターを対象を取らずに墓地に送る効果の話や誘発に対して融合召喚で相手の動きをスカす話、2.のフィニッシュパートには入らず相手と消耗戦を行い、リソース差で相手にサレンダーを強制する動き等はここでは込み入った話になるので触れていません。
大まかな動きは前述の通りですが、この二つのパートを自分の意図通りに達成するためには、デッキに入ってるカードがどのような状況で何を出来るのかを詳しく知る必要があります。
ここが、今マスターデュエル環境で猛威を奮っているドライトロントライブリゲード電脳界幻影騎士のような展開デッキと大きく異なる点で、自分は最初ドライトロンを使っていたのですが、シャドールを使うに当たって混乱したポイントでした。
最初に配られた札からいかに強力な切り札の召喚に繋げるかというのに重点が置かれているのが展開デッキです。
シャドールでも、アレイスター→アルテミスからメルカバーとか、ネフィリム→グラコンで魔法/罠回収とか(動きの例なので読み飛ばしてもらって結構です)のような強い動きはあります。
ですが、それだけで相手がサレンダーしてくれるような強制力があるものではありません。
寧ろ,そう言った特定の展開を持たないことこそがシャドールの強みであり、面白みであり,難しい点なのだと思います。
長くなりましたが、ここからは融合召喚を行うに当たって重要な要素である、融合召喚するモンスター、融合を行うための魔法/罠、融合素材となるモンスターの解説を行います。
ここから先は他の方の記事の方が詳細に書かれているので、お忙しい方はここまでで。
[補足]
最初、自分が1番混乱したシャドールってどういうゲームメイクすればいいの?って部分を言語化出来たので初心者向けに書いた初心者プレイヤーの記事としてはここまでで十分かなと思っています。お時間ある方は是非最後までお付き合いくださいませ。読みにくかったらすみません…後、私はこう考えましたみたいなやつなので、温かい目で見てください…
解説の順としましては花形であるシャドール融合モンスター、召喚獣モンスターについて説明した後,それらを出すために用いる融合魔法/罠に関して説明し、最後にシャドール下級モンスターに触れます。
シャドール融合モンスター
シャドール融合モンスターには大きく三つの役割があります。
1. 融合素材として下級モンスターを墓地に送る
2. 自身の持つ効果による場のコントロール
3. 融合モンスターが墓地に行く事によるシャドール魔法/罠の墓地からの回収(PiG効果)
その中でも,以下の三種のシャドール融合モンスターは非常に重要です。
エルシャドール ミドラーシュ
闇属性 魔法使い族
シャドール+闇属性
各プレイヤーが1Tに可能な特殊召喚の回数を一回までに制限します。
相手の特殊召喚を行う効果にチェーンしてミドラーシュを特殊召喚することで相手の特殊召喚をそのターンの特殊召喚を封じる動きが強いです。
先行で立てるミドラーシュにはそれはそれで良い点もあるのですが、(サイバー・ドラゴンなんかはチェーンなしで特殊召喚してくる為、その後にミドラーシュを出しても相手は特殊召喚権を一回分残した状態になります)
基本的には相手の動きに合わせて出した方が強いかな…と個人的に思っています。
また、効果による破壊に耐性があるため、サンダーボルトやライトニングストームなどによる破壊ができません。
したがって、相手にミドラーシュを戦闘で破壊するためにリソースを割かせることができます。
本人の攻撃力も2200と申し分なく,展開系デッキでは特殊召喚一回でミドラーシュを突破出来ずにそのままゲームエンドになる場合もあります。
例えば,ドライトロンに対しては先行でミドラーシュを立てればほぼ勝ちます(ドライトロンモンスターの攻撃力は皆2000です)
一方、壊獣によるリリース,エフェクトヴェーラー、電脳の青龍、スキルドレイン、一滴などによる効果無効化は通ります。
また、自分のターンに展開する場合、ミドラーシュが場にいる状態で特殊召喚を一度行い、次にミドラーシュを素材に特殊召喚をしようとしても出来ない点には注意が必要です。
自分のターンに2回以上特殊召喚したい場合はまず始めにミドラーシュを何らかの方法で無効化してから展開しましょう。
エルシャドール ネフィリム
光属性 天使族
シャドール+光属性
シャドールのフィニッシャー兼サーチカード兼特殊召喚された相手モンスターの処理役です
やることが…やることが多い…!
後述するシャドールリザードと同じく任意のシャドールカードを墓地に送る効果を持ちます。
また、ネフィリムが墓地に送られる(Pig効果)と,シャドール魔法/罠やモンスターを墓地から回収する効果を持っています。
シャドールの初動では、ネフィリムを何らかの融合カードで融合し、ネフィリムをExゾーンに召喚,グラビティコントローラーをネフィリム素材に特殊召喚してネフィリムで送ったシャドール魔法/罠を回収する動きが強いです。
また、ネフィリムの効果には(リザードと異なり)ターン1制限がないため,ネフィリムを場に出せば出すほど任意のシャドールカードを墓地に送り、回収出来ます。細かい話は後述。
本人の打点が2800で特殊召喚されたモンスターと戦闘を行う場合にはダメージ計算を行わず破壊する効果を持つ為、かなり戦闘能力が高いカードです。
しかし、特殊召喚されたモンスターはそのモンスターの攻撃力守備力に関係なく効果によって破壊してしまう為、相手によっては破壊効果を利用されてしまう危険性があります。
また、エルドリッチの効果で特殊召喚されたエルドリッチは効果による破壊に耐性があるため知らずに殴るとネフィリムの方が死にます。
ネフィリムはシャドールの潤滑油的な役割からフィニッシャーまで幅開くこなすカードであり、シャドールを相手にした時に意識することはあまりないかもしれませんが使う上では最重要カードの一つです。
エルシャドール アプカローネ
闇属性 魔法使い族
属性の違うシャドール2体
ネフィリム、ミドラーシュと異なり場に特殊召喚された時の効果も墓地に行った時の効果もターン1制限のあるモンスターであり、その分効果も強力です。
特殊召喚された時にフィールドの表表示のカードの効果を「永続で」無効化します。
またPig効果でデッキ、墓地からシャドールカードを一枚手札に加え、墓地に送ることができます。
加えて、戦闘破壊による耐性を持っています。
アプロカーネはミドラーシュ程の盤面制圧力、ネフィリム程の柔軟性はないですが、唯一無二の役割を担っています。
例えば対エルドリッチ相手に王宮の勅命を無効化したり、相手の場のモンスター効果を無効化して展開を抑制したり…
アプロカーネは無効化のみで破壊はしない為、墓地に行くことで効果を発動するモンスターを破壊せず無力化出来るのが強みです。
ただし、アプロカーネで無効化したモンスターは、戦闘など他の手段で破壊して墓地に行くと墓地での効果は発動できる点には注意。
具体的には対ヌメロンでヌメロンネットワークを無効化すると、ヌメロンダイレクトを引っ張ってくる効果とヌメロンモンスターが素材なしでもエクシーズ効果を発動できる効果が失われます。また、場にヌメロンネットワークが残っている為ヌメロンウォールによる貼り直しも出来ません。
少しテクニカルな技では,スキルドレインが貼られた状態で、シャドールフュージョン等で特殊召喚したアプロカーネで無効化の対象にスキルドレインを指定した後、同一チェーンでそのアプロカーネを融合素材とすることで効果処理時にはアプロカーネが墓地にいる為スキルドレインを無効化できるなんていう荒技もあります。あんまり使いません。
アクセスコードトーカーで自身を素材にするのに近いイメージですね。
Pig効果は墓地でもデッキでも好きなシャドールカードを手札に送って好きなシャドールカードを墓地に送れるという激強能力です。
何らかの素材にしたり破壊された融合モンスターをExデッキに送ってもよし、すでに墓地に送ってしまったシャドールカードをもう一度墓地に送ってもよし、必要なカードを墓地やデッキから回収して手札の好きなカードを墓地に送ってもよし。
初手で展開することはまずないですがネフィリムやミドラーシュを建てた後、フィニッシュに至るまでの中間で活躍するカードです。
天底の使徒で墓地に送ってとりあえずシャドールークをサーチしたりもします。
補足ですが,Pig効果で墓地にある融合シャドールモンスターを指定する場合は手札を墓地に送る効果が発動しません。
その他のエルシャドール融合モンスター
シェキナーガくらいしか採用していないので割愛します。
超融合を活かす純正シャドールなら各一枚は入りそうな気がしますが、よく分かりません。
シェキナーガの採用理由は鉄獣戦線意識且つ増Gが融合素材にできるからだとおもいます…
多分…
召喚獣モンスター
召喚師アレイスター+各属性のモンスター
等で融合召喚できるモンスター群です。同じ融合テーマであることと、アレイスターが手札に来ればとりあえず融合モンスターが大体一体は出せる点が魅力です。
アレイスター+光属性
アレイスター召喚→聖魔の乙女アルテミスから融合召喚できる強力なモンスター、シャドールギミックにアクセスできない事故り方をした場合はとりあえずこいつを出しときゃ良い枠。
相手のLPを削り切る時にケアしなければいけない相手のニビルの効果発動を無効化できることは知っておいても良いかもしれません。
召喚獣アウゴエイデス
アレイスター+融合モンスター
特殊召喚された際に相手フィールドのモンスターを破壊し、以降相手がモンスターを特殊召喚するたびに1Tに一度相手の場のモンスターを破壊するつよつよカードです。
ミドラーシュが場に出ている場合相手は特殊召喚を1Tに一度しか行えない為そのモンスターを破壊すれば実質相手は通常召喚一回しかできない状態になります。
アレイスター+風属性
後述するリバースした下級シャドールモンスターを再度裏守備にしたり、ミドラーシュを裏守備にして自由に展開できるようにしたり、相手の場のモンスターを裏守備にして効果を発動できなくしたり色々できます。
後風属性なので対トライブリゲードでも特殊召喚できる枠になります。まあ結界像立てられた時点でほとんど詰んでますが…
あると便利ですが使用感がテクニカルなので無くてもな気がする一枚。
召喚獣プルガトリオ
アレイスター+火属性
うらら、アレイスターからのアルミラージを素材に融合召喚できるモンスターです。
純粋な打点要因なので入れてるデッキと入れてないデッキがあるなーという印象があります。
アレイスター+闇属性
場にいる間各プレイヤーはモンスターを1ターンに一度しか発動できず、バトルフェイズ中1体のモンスターでしか攻撃できなくなります。
ミドラーシュと合わせると強力なロックが完成しますが強力過ぎて自分も自由に動けなくなる為慣れるまで入れない方がいいかなという気もします。出す場合はExデッキにアウゴエイデスを残しておいて、相手にカリギュラの破壊を強要した後に次のターンでアウゴエイデスの素材にするような動きが良いです。
とにかく自分の好きなタイミングでカリギュラを除去できる状態を作ることが大事。
対閃刀姫相手の場合、墓地のレイを融合素材にできる為後述するエリアルにアクセス出来なくても召喚魔術でレイを除外できるのが強い点です。
融合魔法/罠
融合モンスターを適切なタイミングで出すためには個々の融合魔法/罠の特徴を知る事が必要です。以下ではその解説を行います。
影依融合
シャドールのベーシックな融合カードです。
手札,場のモンスターを使ってシャドールモンスターを融合召喚できる普通の魔法カードです。
しかし、相手の場にExデッキから特殊召喚されたモンスター(以下Exモンスターと略します、一度場に出て墓地から特殊召喚された場合は対象外になることに注意)がいる場合は、自分のデッキのカードも融合素材に出来るというパワーカードに化けます。
つまり、影依融合一枚からシャドール下級モンスターを墓地に送って融合モンスターが出てくるようになります。一枚で3枚分の効果が発動出来るわけです。
相手の場二Exモンスターがいる場合は優先して通していきたいカードです。
ただ、その効果故にいつでもうららで無効化されてしまうこと、相手の場のExモンスターがチェーンして離れると(例えば十二獣のドランシアのみが場にいて同一チェーンでドランシア自身を破壊したりすると)デッキのカードを素材に使えなくなる事には注意が必要です。
今の環境だとエルドリッチや真竜などExモンスターがほぼ(もしくは全く)出てこないデッキもそれなりに当たること、Exモンスターを出してくるデッキはVFDやらデクレアラー+未来龍皇やらロンゴミアントやら先行取られて抗えなかった時点でほぼ負けのデッキが多いことから個人的には強さを実感できなかったカードでもありました。
神の写し身との接触
速攻魔法版影依融合です。
速攻魔法になった変わりにExモンスターがいるならデッキのカードを素材にできる効果が無くなっています。
速攻魔法になったおかげで自分のターンのバトルフェイズ、伏せておけば相手のターン中でも発動出来る為、とても強力なカードです。
バトルフェイズに発動する場合は相手のLPを削り切るために既に直接攻撃したモンスターを素材に別のモンスターを融合してさらに直接攻撃するのに使います。
相手ターン中では相手の効果モンスター、フィールド魔法が場に出て来たのに合わせてアプロカーネを融合したり、シャドール下級モンスターのPig効果を発動させたりといった動きで使います。
また、破壊や先頭破壊、対象を取った効果無効化にチェーンして発動して相手の行動をスカしたりします。
相手モンスターが効果を発動したタイミングでチェーンするとアプロカーネの効果処理のタイミングは相手モンスターの効果発動後になるのは注意です。
影依の偽典(よく自分はシャドールークって書きます
自分、「相手」のメインフェイズに自分の場,墓地のモンスターを除外してシャドール融合モンスターを融合召喚し、特殊召喚したモンスターと同じ属性のモンスターを(これは対象を取らない効果です)墓地に送ります(破壊はしません
対象を取らないためカオスマックスドラゴンを処理できます。強い。
また、墓地にあれば融合素材に出来るため、一度融合素材として墓地に送ったカードを再度融合素材としてリサイクル出来ます。
また、除外して融合召喚を行うため墓穴の使命者にチェーンしてその指定カードを除外する事で墓穴の指名者をスカしたり、事前に墓穴の指名者を打たれそうなミドラーシュを除外しておいたり出来ます。
このカードのおかげで、ミドラーシュがいる状況でも自分,相手のターン1セットで自分は安定して融合召喚(特殊召喚)を合わせて2回行えるようになります。
ただ、墓地に送るのでは無く除外するためPig効果は発動しない事、一度除外するとエリアル以外で除外されたシャドールカードにアクセスする手段が基本構築にはないこと、影依の偽典で特殊召喚したモンスターは直接攻撃できない事には注意が必要です。
場にネフィリム二体、ミドラーシュ二体並ぶことはちょくちょくあるため、どっちが直接攻撃できるのかは覚えておく必要があります。
召喚魔術
召喚獣モンスターの融合では手札と自分の場と墓地と相手の墓地のカードを素材に融合できます。
シャドールの融合カードとしては手札のモンスターしか利用できない点に注意。
相手の墓地のカードを素材として除外出来る為、相手の墓地のキーパーツを素材にする事で相手の展開を抑えられるのも魅力です。
エルドリッチとかデクレアラーとか、後エルドリッチとかエルドリッチとか…後……そう!エルドリッチとかも除外します。
円融魔術
実質アプロカーネとミドラーシュ専用の融合魔法。
めちゃくちゃ事故った時でもリザードさえ墓地に送れればとりあえずミドラーシュが成立する事、ヴェルデアナコンダで使える融合魔法である点が良い。
人によって入れたり入れなかったり。
超融合
手札を一枚捨てて自分相手の場のカードを素材に融合出来ます。
シャドールテーマに興味持った方だとこのカードを中心に考える人が多いと思うので一応触れておきます。
当たり前ですが相手のモンスターを素材に融合召喚をする為には相手の場のモンスターが自分が融合できるモンスターの条件を満たしている必要があります。
例えば、火属性のモンスターを素材にする融合モンスターを自分のExデッキに入れていないデッキで、相手の切り札火属性カードを超融合で素材にすることは出来ません。
全ての属性に対応する為には全ての属性の融合モンスターを入れる必要がありますが、これはEx枠を考えるとあまり現実的ではありません(召喚シャドールはネフィリムミドラーシュアプロカーネで6枠、そこにメルカバーとアウゴエイデスで2枠と計8枠は埋まっており,そこにアルテミス、ヴェルデアナコンダ、グラビティコントローラーは大抵入るので枠の数が足りません
ただ、今の環境だと地属性光属性闇属性に対応していれば大体止められるのでどちらかのギミックで融合素材に出来るモンスターを入れておけばいいかなとは個人的に思っています。
それと、場のモンスターしか素材にできない為、手札の融合魔法が超融合のみの場合、融合召喚をする為だけに通常召喚を行わなければならない点にも注意が必要です。
2積みしてるデッキが多いですが40枚デッキで初心者なら一枚でいいと思います。URなので生成費用も重いですし、初手で手札に2枚くると初動が事故るので個人的にあんまりかなと思っています。既に作った後なら入れましょう。多いなと思ったら減らせばいいだけなので。
60なら2枚入れていいと思います。芝刈りやら壺やらで一枚はいなくなりがちなので…
シャドール下級モンスター
闇属性魔法使い属のカードと闇以外の属性サイキック族のカード群で構成されています。
シャドールモンスターはリバースして発動する効果と、「効果」によって墓地に送られると発動する効果、どちらか片方を1Tに一度発動することができます。
一ターン中はどちらか片方しか使えない点に注意。
シャドール下級モンスターはリバースモンスターとして利用するか、墓地に送ってPig効果を利用するかを考えて使う必要があります。
基本的には融合素材として墓地に送って発動する効果(Pig効果)をメインに使います。
特筆してリバースモンスターとして利用するカード
ヘッジホッグ
シャドール魔法/罠をサーチ出来ます。
めちゃくちゃ事故った時に
場のモンスターを一体破壊します
基本は墓地に送った効果の方が強いのでそちらがメインになります
ドラゴン
場のカードを手札に戻します。
破壊耐性があったりで突破できない相手を無理やり戻すのに使うことがあります。
ただ大抵のデッキでドラゴンは一枚採用なので、他の手段で突破できるならそちらの方が優先度高いです。ドラゴンも墓地に送る効果がメインの役割です。
除外されたモンスターを蘇生します。
光属性+リザードから出したネフィリムでウェンディと聖選士を墓地に送ってネフィリム素材にグラビティコントローラー、聖選士でネフィリム除外してエリアルをリバース、エリアル効果でネフィリム蘇生みたいなルートがあったりします。
また、シャドールークで除外したカードに触れられるほぼ唯一のカードであり、一度融合召喚したシャドール融合モンスターを除外ゾーンから特殊召喚したりします。
ビースト
2枚引いて一枚捨てます。
余裕のある時に相手ターン中にウェンディから特殊召喚して次のターンに手札補充しつつ任意のシャドールカードの効果を発動させたりします。
必須の動きではありませんが無難に手札が増えるためやることに困ったらとりあえずやっとけみたいな枠です。
墓地に送って発動する効果
シャドールカードにおけるワイルドカード、ジョーカー枠です。
墓地に送られた時にデッキから任意のシャドールカードを墓地に送れます。
魔法/罠が足りなければ墓地に送ってよし、相手の動きに合わせて適切な他のシャドールカードを墓地に送って効果を発動させてもよし。
リザード一枚が実質デッキ全てのシャドールカードと同義だと思えばその強さをわかってもらえるとおもいます。
ヘッジホッグ
任意のシャドールモンスターを手札に持ってこれます。融合素材を補充したり、相手のターンに使うリザードを持ってきたり、ミドラーシュを退かす用のビーストを持ってきたりします。
リザードと近い枠ですがヘッジホッグは魔法/罠を持ってこれないことと、他のカードを経由しないと手札に持ってきたシャドールカードのPig効果を起動できないのが大きな違いです。
ドラゴン
魔法/罠を一枚墓地に送れます。
勅命を割ったりスキドレを割ったりヌメロンネットワークを割ったりヴァニティスペースを割ったりします。
デッキ回してると2枚欲しくなる瞬間が多々ありますが、ドラゴンは先行ターンに手札に切っても一切アドが取れないため枚数増やすと事故の原因になる気がします。
一枚しか割れないので最も効果的な結果を得るためには遊戯王のプレイングスキル向上が必要な印象。
今の環境だと1番使いやすいカードかなと個人的には思っています。
自分相手の墓地のカードを3枚まで除外できます。
アレイスターを除外して召喚魔術の効果を発動させたり、閃刀姫相手の場合は墓地のレイとエンゲージなどの魔法を除外して魔法カードが3枚貯まらないようにしたり、墓地のエルドリッチを除外したり、対サンダードラゴンでは雷龍融合を除外したり、対ドライトロンではドライトロンモンスターを除外したり、デクレアラーを除外したりします。
とにかく、相手の墓地のキーカードを除外する事で相手のサイクルを崩すのが目的です。
ウェンディ
シャドールモンスターを裏守備で特殊召喚出来ます。
融合素材にしたり次のターンにリバースするつもりで出したりします。
裏守備のモンスターはリンク召喚の素材にできないことは注意が必要です。(ヴェルデアナコンダの素材にはできません
ビースト
一枚ドローできます。無難に強い。
番外編
アレイスター
召喚,リバース時に手札に召喚魔術を持ってこれる効果と手札のアレイスターを捨てる事で融合モンスターの攻撃力を1000上げる効果が強力です。
後メルカバーの融合素材からそのまま手札に戻って来て効果コストにできる点も優秀。
ミドラーシュの攻撃力を手札のアレイスター1枚で3000超えにできるので、とりあえず握っておけば不測のミドラーシュの戦闘破壊を防げたりします。
以上,長い記事でしたが見て頂きありがとうございました。
この記事が読んでくださった方にとって有益なものになったのであれば幸いです。
以下に,付録として個人的に気になってこういうことかなってなったものをQ&A形式で載せています。
内容がかなり雑なので、流し読み程度で見て頂ければと思います…
Q&A
40シャドールと60シャドールって何が違うの?
60はシャドールの枚数が増えるので融合リソースに余裕ができます。また、シャドールークが2枚に増えたりシャドウルーツが入るのでネフィリムを墓地に送らなくても魔法/罠を回収できたり、40では枠の都合で入らなかった便利なカードが増えます。
両方回してみて回しやすかったのは60の方でした。
40はリソースがカツカツなのでプレミ一回で負けるなんてことが多々あり、結構キツかったです。なんというか無駄がないデッキなので、自分はかなり苦戦しました。
ただ、60は芝刈り2-3、強欲で貪欲な壺3は欲しいなと感じましたしシラユキやヴェーラーなど増やすカードのUR率が高めなので、とりあえずは40シャドールからスタートするとお財布に優しい気がします。
ドラグマパニッシュメント入れないの?
使い方が難しいので入れてません!
相手ターンに発動して次のターンも特殊召喚できないの難しすぎません?
[追記]
自分のターンは融合できないことを理解して次の相手ターンに融合召喚を行う覚悟を決めた上で、時間稼ぎにヌトスと合わせての採用はアリなのかなって思いました。余裕があるときは除去後にアプロカーネ落として何かしらExデッキに戻したりもするのかな…まだ回した回数が少ないのでなんとも言えません。
天底の使徒ってどうしても必要?
あるとアプロカーネ経由でシャドール魔法/罠にタッチできて、ネフィリムの素材になる光属性モンスターを持ってこれるのであると便利だなとは思いました。
手札誘発が人によって採用カード違うんだけど何で?特にうらら入ってないやつがあるのは何故?
うららは火属性なので初手に手札に来た時に融合素材に使えないデッキの場合、入れてない人が結構いる印象です。
エフェクトヴェーラーやPsyフレームギアγは光属性でネフィリムの素材になるのでそれだけで採用理由になると思います。
とにかく融合召喚しないと話にならないので…
特にPsyはSRなので採用しやすいですし、腐りがちなドライバーもシャドールでは貴重な光属性融合素材になるので腐りにくいのがgood
40で金満謙虚積んでるの見るけどなに除外すればいいの?
分かりません…
それがわからなかったので金満謙虚はデッキから抜いたんですけど、あったほうが事故で負けるリスクは減るんだろうなという感じでした。
これは要らないみたいな特定のカードがあるわけではなく、相手と自分の状況次第でどれを除外するのか決める事になるんでしょうが先行一ターン目なら何除外するんだとか中盤ならどうするんだとかそれを初心者が判断するの厳しくない?となってました。
[追記]
先行でシャドールモンスターを融合できないならグラビティコントローラーとヴェルデアナコンダと後1、アレイスターが来てないならアウゴエイデスメルカバー以外の召喚獣とかになるのかな…場合によるとしか言えませんね、やっぱり難しい…
フルドリリス採用の理由は?
一回殴るだけで攻撃力3000のモンスターになるのが偉い、後ネフィリムの素材になるのがえらい。
天底の使徒で引っ張ってくるカードが必要なだけなので別のカードでも良いとは思います。
[追記]
ドラグマ系はどれも異なる強さを持っているのでそのデッキの採用カードと入ってるドラグマモンスターを見比べて自分で考えるのがいいのかな…と思います。
愚かな埋葬とかテラフォーミングとかどうしても必要?
あると便利なのであると便利だと思います。
40にシラユキって必要?
デッキリソースがカツカツなので入れない方が良いとは思います。上手く使えれば強いです。
ネフィリムって3枚いるの?
1枚目はサーチカードとして使って墓地に行くので最低限2枚は必要だと思います.
3枚あると雑にネフィリム使えるので楽です。絶対ってほどではない。
ミドラーシュって3枚いるの?
入れられるなら3枚入れたいですが他のカード入れた方が対応できる幅は広がるかと感じました。
アプロカーネって3枚いるの?
毎試合2枚出すようなカードではないので、2枚で十分だと思います。ただ便利なカードではあるので2枚入れておきたいカードではあるなとおもいます。
アクセスコードトーカーって必要?
場に並んだミドラーシュやら何やらをまとめて素材にできるリンクモンスターはあった方が良いとは思います。
ヴァレルソードドラゴンでも何でもいいです。
アクセスコードトーカーはスキドレを自分一人で割れるのが偉いので個人的には推しています。
強い動きにセレーネ→セレーネ効果でアプロカーネ特殊召喚→アクセスコードトーカーみたいなのがあります。
墓穴の指名者ってどうなの?
エリアルや召喚魔術と違って相手の行動にチェーンできるのが偉いので二枚欲しくなることが多いなーと思いました。
一滴ってどうなの?
デクレアラーを止められるのが偉いのとスキドレ環境下で能動的にアプカローネを墓地に送れるのが偉いのであると便利です。
インカーネーション2枚積みってどうなの?
基本的には墓地から融合モンスター(特にアプカローネ)を蘇生するのに使うんですが、展開次第ではリバース効果も使いたくなるので2枚あればなあと思う場面が結構あったので、2枚積みもアリだと思っています。
シャドールークの枚数
慣れるまでは相手に除去された後も再度貼れるよう40でも二枚は入れておくと良いと思います。
慣れて来たら多分一枚でいいなってなると思います。
60は2枚採用で良いかと。
グラビティコントローラーって何が強いの?
Exデッキに召喚すれば何でも素材にできるので場のモンスターがネフィリム一枚だけでも墓地に送れるのが偉いです。一枚は入れておくと良いかと。
ただ、場に残しておくと相手のサンドバックにされるのでミドラーシュの素材としての優先度は高めです。
芝刈りって強いの?
相手のデッキ枚数に左右されるので正直どうかなと思いましたがプラチナ帯は大体40デッキなのと展開デッキやサンダードラゴンみたいなデッキを圧縮するタイプが相手の場合、ものすごいアドが取れるのであまり腐りませんでした。
芝刈りは通れば強いので60組む余裕があるなら作ろうって感じだと思います。
60でリソース増えたって言っても各シャドールモンスターが一枚増えたくらいでほとんど変わらないじゃん、本当にそんなので違いがあるの?
シャドールモンスターのPig効果は1Tに一度しか発動できないので、例えばエリアルが1枚から2枚に増えるということはエリアルが使えるターンが1Tから2Tに増えることを意味します。
マスターデュエル環境だと概ね1ターンで決着が付きますが、決着が付かずお互い消耗し、拮抗状態になった時に相手の嫌がる動きをもう一回通せるようになる為、リソースの差で相手に有利を取れるというのがデカいです。
一枚増えたからって必要な時に手札にくるわけじゃないじゃんと思うかもしれませんがリザードでもネフィリムでもアプロカーネのPig効果でも引っ張ってこれるのでアクセスすること自体はそれほど難しくないです。
ウマ娘URA1日で優勝してみた
お久しぶりです。話題のアレの話です。
プレイ時間は七時間半でした、七時間?!半?!!!???!!!
リセマラの時間は除いています。
リセマラはまあがんばりましょう…
たづなですが、自分はきちんと調べずに始めたので手持ちに一枚確保しましたが、たづな以外のサポート完凸はあまり見かけませんが、たづな完凸はまあまあ野良でも見かけるので、自身で凸する前提でなければ手持ちになくても(今プレイする限りは)良いかな〜と思いました。
とりあえず、これから始める方向けに1番強調したい点はこれです。
•とりあえず真っ先に星3スピード因子を持ってる人(大体サイレンスズカ)をフォローする
ウマ娘特有のシステムで因子の継承みたいのがあるのですが、シャニで例えるとプロデュースアイドルの育成時に手持ちのフェスアイドルを編成する枠があり、そのフェスアイドルのステータス次第で能力値が上がるシステムです。
言い方を変えると、育てたウマ娘は次のウマ娘育成時にサポート宜しく編成できて、適当なタイミングでその育てたウマ娘のステに依存したバフが貰えるみたいなやつです。
この育てたウマ娘は1人だけフォローしている人からレンタルすることができるので、序盤にフォローしておくと初めからそのバフの恩恵が受けられるようになります。
自分が適当に育成したウマ娘編成していた時はそのバフがもらえるタイミングで合計30くらいしかステータスが伸びなかったのですがフレンド編成してからは60くらい伸びるようになったのでこれは外せないかなと思います。
後まあ個人的に大事かなーと思った点を10個ほど。
•リセマラはサポートssrガチャを回す。
リセマラで集めるssrはネットでいい感じのまとめを探す(個人的にはスピードとスタミナあたりに振れる子が強いと思いましたがまあ友人に詳しい人いたらその人に聞いてください)
•リリース記念ミッション(七日かけなくてもクリア出来ます)を全部クリアすると星3チケットが貰える
•ミッションクリアにはURAの決勝(シャニマスのwing決勝みたいなもの)に出場する必要あり
•初期に配布されているウマ娘はミッションで全員育成することになるので攻略サイト等見てそのウマ娘が参加できるミッションにあるレースを調べておくと良い
•ウマ娘にはウマ娘ごとに伸びやすいステータスが存在する(各ウマ娘のステータス一覧から確認可能)
•シャニマスやったことある人なら適当にやっていても育成はなんとかなる
•サポートSSRのレベル上げが結構大変。とりあえずは五枚ともレベル30を目指すのが良い。
•ウマ娘の調子は絶好調を極力維持(トレーニングの効果が20%、レース中の基礎能力が10%上昇するため)
•スキル獲得に必要なポイントがかなり高いので、育てるウマ娘の方針(逃げ、先行、差し等)に合わせてスキルを取る方が良い
•スキルはサポートのイベントで得られる(ヒントを得る)、スキル獲得に必要なポイントはサポートのイベントを進めることで稀に少なくなる
以下、育成したURA優勝ウマ娘の自慢です。
サポートはスピード星3因子もちサイレンスズカ、フレンドのサポートはレベル35サイレンスズカです。
まああんまり参考にならない気がしますね…とりあえずURA優勝以外のミッションを潰して、その後に星三ウマ娘で優勝を狙うのが良いかと思います。
[追記]
ウマ娘をレンタルできるのは1日三回までなので1日しか残っていない場合は本命用に三回分取っておくとかした方が良いかもしれません
前回の記事のお詫びと訂正と今後の展望について
前の記事が致命的な読み違いを起こしている可能性に気が付いたため、このような記事を作成させて頂きました。
前の記事が結果的に当初の私の目的を満たし得るものだったかどうかについては今回は置いておくこととします。
当初私は、山田尚子監督の作品において、普段アニメーションを見ている時にはそこに何か意味があるなど思わない色々なモノに意味が付与されていることを知るきっかけになれば、そしてあわよくばその作品の中で裏ストーリーとも言うべき働きをするそれらについて片鱗でも掴んで考察できれば、そしてこの作品を楽しめなかった人がもう一度映画館に足を運ぶきっかけになれば、などと思いあのような記事を作成しました。
あの記事がその目的を達せられていたかについては正直難しいだろうというのが率直な感想ですが、くどいようですがそれに関しては今回は不問ということにします。
実は、現在ももう一つ記事を書いていたところなのですが、各種インタビューを読む中で、私はこの作品について致命的な勘違いをしていたのではないか?という疑念を持ちました。
読んでいたのはこれらの記事です。
<山田尚子監督インタビュー>『けいおん!』と『リズと青い鳥』奏でる音の違いとは? 瞬きの速度に込めた“少女たちの禁忌” [T-SITEニュース エンタメ] http://top.tsite.jp/entertainment/cinema/i/39532050/?sc_cid=tcore_a99_n_adot_share_tw_39532050
最後の「ピン」という音で希美の幸せを願った―牛尾憲輔が語る「リズと青い鳥」と音楽(1)|Zing! https://eonet.jp/zing/articles/_4102098.html
あの後、第二楽章について少し勉強したのですが、前の記事に書いてある内容に関して、特にズレがあるようには感じませんでした。
勿論、間違いは複数あるんですがそれそのものが根本的に揺らぐような内容的間違いは見受けられなかった…と思います。
私にはそれが不思議でなりませんでした。
水のモチーフは池、水槽、蛇口から出る水(停滞、羊水、時間の流れ?)、階段(というか階、階段を降りる話との言及あり、ただそれ以上の意味は…?)、花言葉およびその花の象徴的意味(調べている途中)etc...
過去作品で一騎当千の活躍をしていたそれらが今回は物語に従属していると感じました。
率直に言いますと、そこに監督からのメッセージのようなものが読み取れなかった、のです。裏に込めた何か、という事になります。
勿論、私が見落としている可能性も高く、知識のある方であればように読み取ることが可能なのかもしれません、が、私は他の可能性について考えました。
そもそも、リズと青い鳥は響けユーフォニアムの外伝、にあたる位置付けになると思います。
石原立也監督による作品であり、シリーズ演出を担当されてはいるそうですが自分がメインで作ってきた作品である、とは言わない…と思います。
正直、リズと青い鳥を見ている時に私はほとんどこれが響けユーフォニアムとの関わりのある作品であることを意識しませんでした。前の記事でもお話ししましたが私は吹奏楽部がダメなので、原作の方はダメだったのですが特に拒否反応も出ず最後まで楽しく(楽しく?)見ることが出来ました。公式サイトも分けられており、リズと青い鳥のホームページ内でもあまりユーフォニアムという作品は意識されません。
そのため、私はこれが響けユーフォニアムの外伝であることを完全に失念していた(もしくは敢えて無視していた)事に気が付きました。
『リズと青い鳥』山田尚子×武田綾乃 対談 少女たちの緊迫感はいかにして描かれたか http://kai-you.net/article/52799 より
>>山田 そう言っていただけるとうれしいです。私自身は2人に「添い遂げてほしい」派なんですよ。
だけど原作を読んでいると、つくり手としての自分が2人の関係性をいじってしまうことが一番不幸なことだと思ったんです。
小説で描かれていたことを自分の解釈でねじまげないことが、監督である私の責任だと思いました。
という事を、純粋に物語のラストまで描かなかったことそのものだと思っていたのです。
そもそも、モチーフは見る人が見ないと(もしくは見ても)分からないものですから、そこは自由に作るものだろうと思ってもいた、というのもあります。
ただ、今回の作画及び劇伴に対する並々ならぬ気合の入れようと、前述したモチーフの話を考えると今回力を入れたのはそこではないのではないか?と思ったのです。
「リズと青い鳥」山田尚子監督「彼女たちの言葉だけが正解だと思われたくなかった」|Zing! https://eonet.jp/zing/articles/_4101959.html
『けいおん!』『聲の形』の監督・山田尚子が“ユーフォニアム”シリーズ最新作で挑戦した美学「物語より世界を作りたい」 | 週プレNews http://wpb.shueisha.co.jp/2018/04/26/103867/
の通り、今回は映像そのものに情報の多くを込めたのではないか、より正確に言うのであれば、映像にすることで、言葉による表現を削ることで、情報をより曖昧化させ、極限まで自分の解釈の入り込む余地を無くしたのではないか?と思ったのです。(これが自分の解釈で捻じ曲げないという事であり、ある意味自分の作品ではない作品への向き合い方のようなものなのかなあといった感じです。
つまり、瞬き、髪の毛を弄る手、目線、歩き方etc...といった彼女たちの一挙手一投足に、そして裏で流れる音楽に意味を込めたのではないか?そう思ったのです。
(注釈)
音楽に関しては未だ確認が取れていないのでここで詳しく触れることは避けますが、何かしらのサウンドトラックを聞いたことがある人ならご理解頂けるかと思いますが普通、作品内で使われる音楽というのはある特定の場面のみで使われるものではなく、その作品の様々なところ、要所要所で用いられるものですが、本作においてはある特定の場面に対して一つの音楽といったように、贅沢な使い方をしている可能性が(あくまで可能性ですし、全ての楽曲ではなく一部の楽曲かもしれませんが)あります。
私個人としては、それで何かを伝えようとするのは無理ではないか?というのが感想です。
が、その一方でこの監督なら、京都アニメーションならそれをやりきってしまうのではないか、90分を可能な限り意図的に描くことが出来るのではないか(見た映像に対してここでこういう仕草をしているのは、目線がこう運ばれているのは単純に作画担当者が描きやすかったからではなく目的があってのことなのではと安心して考えられるのでは)とも思いました。
実写と違い、アニメーションは描かないと映像が動きませんし、また、物の形、大きさ、動き方に至るまで実写よりは融通が効きますから、そこに対する安心感は実写より担保しやすいかと思います。(今ならCGがありますが今回は置いておくこととします。アスファルトの凹み方が自分の意に沿わないからといってCGで修正する、なんてことは考えにくいですから…)
そもそも、そういった表現(よく言われるのは足)はこれが初出のものではなく元々監督作品では御馴染みの表現ですから、そういう曖昧な(色々な取り方のできる)表現に何らかの意図を見るのは、それほど困難なことではないはずです。
また、それならこの作品が映画館で最も効果を発揮する、というのも腑に落ちるとも思いました。(映画館の方が映像と音楽を体感しやすいですから
何かの情報を得るとき、そこからどれほどの情報を得られるかというのはその人のスペックによって変わると思います。ですが、見た情報全てを覚えておく、なんてことはまず無理で、皆どこかしら情報の取捨選択を行なっているはずです。
前述しました私の致命的な勘違いというのはその事であり、その、一挙手一投足の情報を見ること、その情報を得ることを取捨選択してしまっておりまして、そもそもこの作品が作品考察(というか読み取り)に向いていない事に気がつくのにここまでかかってしまった事にあります。
(注釈)
ですので、前記事のラストにおける結末が描かれなかったため、先は見る人によって変わるというのは監督の”意思”の元行われたものではなく、結果的にそうなってしまっただけ、という事になると思います。かなり致命的な間違いだと思います。
ハッピーアイスクリームに関してはそういうゲームがあったことは調べて分かりましたが結局みぞれのハッピーアイスクリームの意味取り(する必要があるのかはわかりませんが)には特に問題なさそうでしたので、まあ大丈夫かな?と思っています。
もう一度映画を観に行くことが物理的に困難なため、結局私にはこの記事でここまで書いてきたそれが本当にそうなのか、はたまたこれも私の勘違いでいつも通りモチーフを紐解けば何か出てくるのか、は正直調べることが出来ません…
近所の映画館でも放映してくれると良いのですが…
そもそも、キャラクターの感情の機微に対してかなり詳細に語ることは、原作の小説の方が得意な分野でありますし、私みたいに吹奏楽部が苦手で原作が見れないとかいう奇特な人間以外は素直に原作を読めばいいわけですから、そういった言葉による情報を削って画面表現と音だけで作り込んでいくのはこの作品でしか出来ない事だとも思います。
つまり、思いっきり見方を間違えていて、見えないものが見えてしまった可能性が高いという事になります。
大変申し訳ありませんでした…
今後の展望について
前の記事ですが、己の反省のためと、まああれはあれでそういう見方を提供する一助にはなるかな…とも思ったので開き直ってそのままにしてついでに今書いているそれも最後までかき上げようかなあと考えています。
ただ、先程確認して分かったのですが今作っている記事には劇場版ユーフォニアムのネタバレが含まれるようなので投稿タイミングについては少し考えることにします。(そもそもいつ書き終わるのかがわかりませんが…)
また、近々友人が見に行くそうなので感想を聞いてみようと思います。
お詫びの割にやけに長いものになってしまいました。すみません…
また、機会がありましたらよろしくお願い致します。
追伸
「リズと青い鳥」スタッフ・キャスト インタビューまとめ - なつみかん@はてな
https://tangerine.hateblo.jp/entry/2018/05/12/173020
という方のブログが概ねリズと青い鳥関連のインタビューを網羅しており、また大変見やすいので気になった方は是非。
君にまつわるミステリー
はじめに
本記事はリズと青い鳥を山田尚子監督の画面表現の観点、および脚本内のセリフ、各種インタビューから考察をしていくものです。
本記事は、リズと青い鳥を既に視聴した方を対象に書いています。
恐らく未視聴の方にはつまらない記事であるだろうと思いますので、視聴してから読んで頂けると嬉しいです。
交通の弁の問題により本記事の作者はこの作品を一度しか見ておりません。
また、ユーフォニアムは1話として見ていません。
いきなり不安を煽るような内容から始めたのは、なるべく私がどのような経緯で、状態で、本記事を作成したのか分かって頂きたかったからです。
また、ユーフォニアムは未視聴であるという情報を初めに提示させて頂いたのは私はこの作品、リズと青い鳥が、響け!ユーフォニアムという作品を全く知らなくても視聴に値し、理解できる作品である、と考えているからです。
勿論、のぞみとみぞれが中学時代から一緒だった、集団退部事件なるものがあった、などの情報は作品内で示されていない(少なくとも私には読み取れず付き合いが長いことと何かのきっかけで退部したことしか分かりませんでした)ため、そういう細かい話に関しては全く分かりません。
ですから、私はそういう話に関しては極力触れず、あくまであの90分間の中に示された情報、そして各種サイトのインタビュー記事からこの物語を読み解きました。
また、複数の意味合いの取れそうなもの(ex ゆで卵の意味するもの、みぞれがオーボエの笛を自作する理由など)はできるだけ除きました。
さらに、各シーン、セリフに対する考察には最低一回(多くは一回ですが…)、別のシーンの言葉や画面内の表現から理由付けをするようにしています。(中盤にできていない箇所があります。)
また、記憶がおぼろげな箇所には?マーク等を入れています。作品の考察に多大な影響を与える部分とは関係ない要素なので、ご容赦下さい。
それすら出来ないものに関しては、監督の経歴に照らし合わせて、なるべく詳細に、多くの文を割いて説明するようにし、ここから先は私の想像である、という注釈を入れております。
具体例を出しましょう。
ある日私がメガホンを持って、「本日は晴天なり」と言ったとします。
それに対してある人はこう考えるでしょう。
「ああ、長門さんはメガホンのテストをしているのだな」
また、別の人はこう考える事でしょう。
「なるほど、長門さんは今日は天気が良いと主張したいんだな」
この段階ではどちらも同等に正しいものである、と考えられるはずです(普通はメガホンのテストでしょうがこの場合の普通は統計を取ったわけでもない感覚的な普通なので除外します)
さて、ここで1シーン入れてみましょう。
Aさん「そろそろ集会始まるから、長門さん、メガホンのテストをしてくれない?」 ここにおいて、私がしたかったのはメガホンのテストである、という説は天気が良いと主張している説よりも説得力が増した、と言えることになります。
勿論、私が主張したいのは天気が良いということ、という説が消えるわけではありません。 ですが、何もないところから判断するよりは、幾分か正しく読み取れるのではないか、と思うのです。
本記事はこのような方法で考察を進めていきます。
まず、私が今回この記事を作るにあたって用いた手法について説明致します。
私は山田尚子監督作品、とりわけたまこまーけっと、たまこラブストーリーを非常に大切にしており、なんども視聴しましたし、様々な考察記事を読んだりもしていました。
その中でも、特に超記憶術さんのブログ(http://priority1.blog51.fc2.com/blog-category-30.html)には非常に感銘を受けました。
当記事はここで用いられている手法を概ね踏襲して、物語を読み解いていきます。
この読み取り手法の確からしさ、より詳しくいうのであれば監督は本当にそういう風に考えて場面を組んでいるのか?という疑問に関しては今回私の方から説明することはなく、自明のものとして扱うことにします。 理由は、これを説明するためには本記事の倍以上の文章と資料が必要であり、とても私程度には説明することが出来ない、そう判断したからです。
つまり、本記事は物語のストーリーの構造を考察するものであり、彼女らの心境を考え考察するのではなく作品内に散りばめられた様々な情報及び各種インタビューから考察していくものである、ということになります。
正直に申し上げますと、映画考察のようなこれほど長い文章を書く経験は初めてであり、校正をしていて己の未熟さに反省した箇所がいくつもあります。
ですが、誠実にリズと青い鳥という作品に向き合ったつもりです。
山田尚子作品をほんの少し齧っている程度で、響け!ユーフォニアムを一度も見たことのない人間がどれほどの記事が書けるのか、怖いもの見たさで良いのでどうぞお付き合い頂けるとうれしく思います。
参考資料(必ず目を通して頂きたいです)
本記事がメインに引用するのはこれらのページからになります。
引用量が多いためどのページから引用したかについては注釈を入れておりませんので、目を通して頂くよう、宜しくお願いします。
尚、本記事に引用されていないページもいくつかありますが、私が何を見て考察していたかを知って頂くため、敢えて掲載しています。
1. 「リズと青い鳥」公式サイト スタッフコメント http://liz-bluebird.com/news/?id=3#staffComment01
2. 「リズと青い鳥」公式サイト 山田尚子監督インタビュー http://liz-bluebird.com/interview/
3. 「リズと青い鳥」公式サイト カウントダウンコメント http://liz-bluebird.com/news/?id=31
4. 特集「リズと青い鳥」 OST『girls,dance,staircase』二人の少女の繊細な関係性を牛尾憲輔が音像化。その儚く美しい世界観を映したコンセプト・ワークとは? | INTERVIEW - Mikiki http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/17647
5. 『リズと青い鳥』山田尚子×武田綾乃 対談 少女たちの緊迫感はいかにして描かれたか http://kai-you.net/article/52799
6. 【イベントレポート】「リズと青い鳥」舞台挨拶、種崎敦美の止まらない青春語りに東山奈央ら深く頷く - コミックナタリー https://natalie.mu/comic/news/276562
7. 【イベントレポート】「リズと青い鳥」舞台挨拶で演技に恐縮しながらも本田望結「最低10回観る」宣言 - コミックナタリー https://natalie.mu/comic/news/279112
本記事を作成しようと思った理由について
まずは本記事作成の理由について説明致します。
以下、私のツイートを引用します。
>>枠組みが決まってて、そこにやりたいテーマがあって、あれが暗い話にならざるを得ない以上話として面白い!とならないかもしれないのは分かるんですよ。 だからなんと言うか、そういう見方をしないのであれば心を締め付けられるようになれば良いし、もっと深い見方をしても良い
>>でも多分、答えは貴方のもので、外の話は好きなように色付けして良いはずで
>>だからみぞれとのぞみが、それぞれ進んだ先で同棲をしても良いし、もう2人会うことはない、としても良いはずなんだ
>>私が動揺しているのはリズい鳥が面白くない疑惑が出ていて私は面白かったけど面白くないとされる方の心当たりの方が多くてじゃあこの面白かったという感覚に対して私はどう向き合えば良いんだと自問自答している感じです
>>うーんっと、私のいう面白くないは作品の話で、ストーリーにどれほど共感できるか、感じ入るかは話の作り上人によって異なる(これを理解出来る出来ないはその人の人生次第だと思う)のでそこによって面白さを保証しきれるのか私にはわからない(面白くないと言っているわけではない
>>で、私は少女の葛藤を、瞬間瞬間を緻密に、ともすれば10分で片付けられる内容を練りに練って構成する作りが面白いと感じた(勿論ストーリーにも心当たりがある(あり過ぎるのでそこでもダメージを受けている
>>で、ストーリーも構成も面白くないと判断する人間がいた時、それは面白いと言えるのか?みたいな話をしている、と思う
>>単純に面白くない作品は作られなくなるのでこれは死活問題
本来であればまとめて短い文章にするべきなのですが、自分がその時感じて、発した言葉をそのまま引用した方が私がどのような考えで、どのような気持ちでこの記事の作成に臨んだか、を分かってもらえるかなと思いこのような見にくい形を取らせて頂きました。
本記事が皆様のリズと青い鳥を好きになる一助となったのであれば、それほど嬉しいことはありません。
考察
さて、本題に入ります。
先ほども申し上げた通り、本記事は基本的に画面から直接読み取れる情報を中心に作品を考察していきます。
メインは過去作品(たまこラブストーリーの話が中心となります)でも見られた手法とその発展系の話になります。
複数の意味が取れるモチーフ、私の考えの域を出ない情報は極力排除し、怪しいところには注意書きを入れるようにしています。
稚拙な文章ではありますが、どうぞ、どうぞ最後までお付き合いください。
リズと青い鳥、というよりかは山田尚子作品において、話者の向く向き、歩く方向は重要な意味を持っています。
上手下手の概念、というと分かりやすいかと思います。
右から左に向かう向き(以後左向き)←が未来、左から右に向かう向き(以後右向き)→が過去を表しています。
縦書きの作文を書く方向が未来だと考えて頂けるとわかりやすいと思います。
例えば、冒頭のシーン、2人が音楽室に向かって行くシーンでは2人は右向きに音楽室に向かっていきます。
そして右向きに並んだ上靴のカット(順に青→赤→緑、三年→二年→一年)が入った後、画面は急にぼやけて、2人の姿がもう一度映し出されます。
上靴の色が変わっていて、確か赤?だったと思います。
これは過去方向に向かったこと、同じ向きに並んだ靴からそれが前にも繰り返された光景であることを示しています。
ぼやけた映像が過去のものであることは物語の中で出てきた集団退部事件ののぞみのクラスメイト?とのみぞれの会話から見ることができると思います。
基本的には左は未来、積極的、革新的、右は消極的、保守的、過去のようなニュアンスを含んでいるようです。
積極的、消極的はみぞれとのぞみの関係から見ることができます。
ハグを迫るみぞれは左向き、のぞみは右向きです。
恋愛感情的な側面ではどっちがそうか、と言う話、正確には好きという感情の違い、あたりが適切かも知れません。
話者のセリフにこの向きの持つ意味を持たせたくない場合は首を捻ったりすることで対処されていました。
ちなみに今回は右はみぞれの向き、左はのぞみの向きという意味も持っていたようです。
みぞれの話をしている時に顔が右を向いていたこと、後半のスカートの向かう向き、顔を向ける向きから読み取ることができます。
また、音楽室に向かう向きが右向きであるならば、教室に向かう向きは左向きであり、みぞれの向きは同時にみぞれの進路の向き、のぞみの向きは同時にのぞみの進路の向きでもあるようです。
こちらはモブキャラが歩く向きが左、みぞれ(だったと思います)が右に歩くシーンなどで補強できると思います。
また、リズと青い鳥の童話の中ではリズは右向向き、青い鳥は左向きで話が進行していきます。
例えば、まだ青い鳥が登場する前のシーン、机に座るリズの向きは右向きです。
青い鳥が出てきてからも、リズは右向きに座り、青い鳥は左向きに座っています。
青い鳥を逃すリズも同様に、手を引くリズは右を、引かれる青い鳥は左を向いています。
この時、ドアが左側に、家の中が右側に描かれています。
ここに、左がソト、右がウチの概念を見ることができます。
これはリズの家の二階の窓の向きとも合致します。
また、この構図は後半のみぞれの告白シーンでも再度使用されています。
ただし、このシーンでは扉は全て閉じており、出口は無くなっています。
このシーンは大事なシーンなので後ほど解説します。
さて、今回はさらに画面の手前、奥にも意味があるようで
手前から奥(今これを見ている画面に向かって進む向き、以後奥向きと呼称)、
奥から手前(画面から遠ざかる向き、以後手前向きと呼称)
に対してそれぞれソト向き、ウチ向きの意味が込められているようです。
これは、全ての場面に適用されるもの、ではなく非常口のドアや窓に描かれた非常時脱出用のマーク、単純にドアなどを介して示されています。
当たり前の話ですが、手前向きに何かが置かれても、我々は見ることはできません。(モンハンで画面いっぱいにモンスターが映るのをイメージして頂くとわかりやすいかもしれません)
ですので、これらがモチーフやマークによって示されている以上、奥向きがソト、手前向きがウチとなります。
これがのぞみとみぞれのリズ性、青い鳥性を非常に巧みに表しており、私が舌を巻いた部分でもありました。
2人の関係に対して、リズと青い鳥の関係を合わせることができるのは、冒頭、のぞみが学校の中で「私達ってこのリズと青い鳥みたい」と言った話をしていたことから判断出来るものとしますが、その関係は音楽室に入るそのシーンから描かれています。
音楽室に入るシーンにおいて、ドアの先に各パートの座る椅子があり、これは奥向き(ソト向き)の構図になっています。
この時、みぞれは左側に、のぞみは右側に座ります。
したがって、2人が話す時はみぞれは右向きに、のぞみは左向きに顔を向けます。
これは、ソトにおいてリズがみぞれ、青い鳥がのぞみであることを表しています。
他にも例を挙げるとするならばのぞみが茶色い鳥に怯えるシーン、みぞれが窓の外の青い鳥を見るシーンなどが挙げられます。
また、冒頭ののぞみにみぞれが青い羽を渡すシーン(学校の中、ウチ)から、ウチではみぞれが青い鳥なのだから、ソトではのぞみが青い鳥である、との見方もできるはずです。
ただ、学校の中なら無条件にウチかというとそうでもなく、窓一枚隔てた学校の周りはソトとなります。
教室の開いたドアの向こうもソトです。
なんらかの境界線に対してのぞみ、みぞれがいる方をウチ、いない方をソトと見ると概ね正しいと思います。
さて、物語の後半ではこの、序盤で挙げられたリズ=みぞれ、青い鳥=のぞみの構図が逆転することは彼女たちのセリフから読み取れることでしょう。
この時、舞台は音楽室の中(ウチ向き、手前向き、指揮台の側からバンドメンバーを見たときの景色)に映像が切り替わります。
こうなると今までの二人の位置関係が逆転し、みぞれが向かって右側(左向き)、のぞみが向かって左側(右側)に変わります。
つまり、ここにウチにおけるリズ=のぞみ、青い鳥=みぞれの構図が生み出されます。 二人の関係が逆転します。
最初に音楽室が出てきた瞬間から、二人の関係の逆転は予告されていた、というわけです。
ここに置いて、二人はリズ性、青い鳥性をどちらも互いに満たす要素に変わります。
(ここより先は私個人の想像を含みます。また、説明のしにくいものに関して、文章の引用なしで話を進めている部分が何箇所かあります。)
さて、ここでフルートパートの会話(朝食編)で出てきた「味噌汁ぶっかけご飯」「ダメ!無理!」「美味しいですよ」「認めない!」を引用します。
そしてもう1つ、先のインタビュー記事にもありました
>>山田 みぞれと希美の精神性って、なかなか作品として描く機会のないものだと思うんですね。お互い自分の生き方にまっすぐで、人の話を聞いているようで聞いていないような……そんな曖昧な印象があって。
>>山田 それは自分にとっての「おまじない」のようなもので、あんまり表に出すものでもないんですけど……いくつかあるうち表立っているものでは、素数を意識しました。みぞれと希美の2人って、同じ最大公約数を持たない関係性だなと思って。
>>山田 私の頭の中で、みぞれと希美の交わらなさがグラフのように見えていたんです。 だから、数学用語で2つの集合が交わりを持たないことを意味する「disjoint」の文字をAパート前に挟んだり、そういった要素を作品のあちこちに散りばめています。
つまり、二人は最初からdisjointな存在として描かれてきたわけです(ここまで参考資料を飛ばして見てきた方は是非一度戻って全て目を通して頂きたいです)
とはいえ、二人の関係はどこか曖昧としたもので、その関係はみぞれの本気のオーボエを聴いたことでさらに曖昧さを増していきます。
どちらにとっても相手はリズであり、青い鳥であるわけです。
つまり、ご飯なのか味噌汁なのか、リズなのか青い鳥なのか、好きなのか嫌いなのか、のぞみは、みぞれはどうしたいのか、ハッキリしろよ。と言うわけです。
ここで最後のjointが出てきてもおかしくない(同じ要素を含む集合となった) 状態となったわけですが、ここではjointは出てきません。
何故か。
リズと青い鳥は悲劇です。
青い鳥は愛故に愚直にリズの思いを貫きます。
リズは青い鳥にいつでも戻ってきても良い、そんな思いを胸に抱いて、伝えられずにいます。
(注釈)
勿論、これもまた一つのハッピーエンドではあります。
二人一緒にいることはできなくても、互いが互いを思いやり、結論を出す。それは互いにとって最も良いものであったでしょう。
あの小屋の、鳥籠の中で停滞するより自由な空へ。
悲しくもあり美しい物語であります。
そして多分これは正しい選択なのでしょう。
しかし、ずっと一緒に、一緒にいられたらと願う気持ちもまた美しいものだと思います。一緒に居られないこと、それ自体が悲劇である、と私は思うのです。
この先私は、リズと青い鳥は、愛しきものとの別離の物語である、と言う点において悲劇である、という前提のもと話を進めていきます。
この前提は、最後の最後に否定されるものではありますが、どうしてもその結論に至るまでに必要なものなので、ご理解頂けると嬉しいです。
ご不快に思う方がいらっしゃる事も重々承知しております。が、どうか最後までお付き合いのほど、宜しくお願い致します。
これは、のぞみのいう事なら…というみぞれ、「青い鳥はいつでも戻って来れば良い」という話をした後にのぞみが考えを改めたこと。
みぞれがリズではなく青い鳥として感情を吐露するシーンから読み解くことができます。
繰り返しになりますが、リズと青い鳥は悲劇です。
もし、のぞみとみぞれの関係が、そこになぞらえられるものになってしまったら、それは悲劇の再話となることでしょう。
告白シーンの話に移りましょう。
二人の感情の吐露、関係の清算、二人の好きの違い、あたりがセリフから読み取れる内容かと思いますが、ここでは場面の話をしていきます。 
画像元(https://natalie.mu/comic/gallery/news/276562/883732)
何度も言いますがこの構図はリズと青い鳥の再話であります。
学校の中(ウチ)においてのぞみが右、みぞれが左を向いています。
ただし、今回は扉は開いてはおりません。
より正確にいうのであれば、のぞみは初めて、みぞれの好きと向き合う覚悟を決めるのです。
抱き合う二人の後ろの扉は非常扉です。
その気になれば出ていける脱出口、しかしその扉が開かれることはありません。
また、ここで初めて二人は大好きのハグをすることになります。(jointします)
つまり、このシーンがリズと青い鳥における最後、「これが私の愛の形!」の再話となるわけです。
大好きのハグを受け入れる、一度は拒否したそれを、ルールに則り好きを伝える儀式を受け入れるわけです。
ここで、二人の抱き合う右側の棚を見てください。
二羽の鳥の白骨標本が展示されています。
二人はどちらも青い鳥性を持つ、という話を前述しました。
さて、ここに来てこの二羽は白骨標本(死)になっています。
これはリズと青い鳥、の役割からの解放を意味していると考えます。
すなわち、そこにいるのはリズでも青い鳥でもない、ただののぞみとみぞれです。
(ところで、大好きのハグ中の会話について補足します。 みぞれの好き、は愛的な好きでありますがのぞみのフルートが好き、はもっと複雑な思いであることが監督インタビューで触れられています)
( >>山田 原作者である武田さんの前で言って違ったら怖いんですけど…… 映画のラストで希美がみぞれに伝えた感情は、本当は彼女が一番言いたくなかったことなのかなと、今でも思っています。
>>山田 自分自身の置かれた状況やのぞみとの関係性など、いろいろなものを認めてしまわないとあの言葉は言えないんだけど、でも言わざるをえない。その決断を導き出せるかが、この映画の難しいところでした。 )
さて、告白の後、二人は互いに別の進路を向き始めます。
何度か出てきた構図(図書室、貸出期限一ヶ月過ぎ、リズと青い鳥、くどい図書館員)に、のぞみの進路選択の描写(問題集を借りる、一週間)が入ります。
この後二人が互いに逆の方向に向かって行くシーンは印象的ですね。
そして、二人は一緒に学校を出ます (話の冒頭も二人で一緒に学校に行く、モブの子が通った後にのぞみを待ってから教室に向かうあたりから同じ構図である気がします) のぞみはみぞれのオーボエに対して向き合います。
そして二人一緒に「コンクール頑張ろうね」といったニュアンスのセリフを言うわけです。(よく覚えていません)
ここにようやく、気持ちの一致、方向の一致が見て取れます。
この時二人は一緒に左を向いて進んでいきます。
インタビューからの引用です。
>>山田 映画の最初から最後まで、あの2人が噛み合ったのってほんの一瞬だと思うんですよ。
——一瞬は噛み合ってますよね……?
山田 そう思います。その一瞬を記録するための映画だと思っています。
ここにおいて、disjointは解消されjointへと変化します。
そして物語はエンディングを迎えます。
ハッピーアイスクリームについて
ここから先は、私の想像の域を出ない話をすることになります。
また、 氷菓シリーズ第1巻氷菓の核心的なネタバレと、第2巻愚者のエンドロールのトリックに関する致命的なネタバレおよびストーリーに関する核心的なネタバレと、第3巻クドリャフカの順番のストーリーに関するざっくりとしたネタバレを含みます。
あと筆が乗ってきたのと朝4時から四時間ぶっ続けで書いていたので妙にテンションが高いです。生暖かく見守って頂けると嬉しいです。
私は氷菓という作品が例えトリックが暴かれようが、話のオチが見えていようが鑑賞に耐えうる作品であると確信していますが、それはそれとしてミステリーにおける初読のワクワク感を殺すことは忍びなく、出来ることなら氷菓という作品を読んでから続きを見て頂きたいと思っています。
というわけで氷菓シリーズ全巻の角川内にある販売ページを載せておきます。
全部面白いので全部読んで頂きたいです。
最新刊、「いまさら翼といわれても」のみハードカバー本で、書店で探す時苦労するかと思いますが是非探して見てください。
1. 氷菓 米澤 穂信:文庫 | KADOKAWA https://www.kadokawa.co.jp/product/200108000110/
2. 愚者のエンドロール 米澤 穂信:文庫 | KADOKAWA https://www.kadokawa.co.jp/product/200203000544/
3. クドリャフカの順番 米澤 穂信:文庫 | KADOKAWA https://www.kadokawa.co.jp/product/200803000546/
4. 遠まわりする雛 米澤 穂信:文庫 | KADOKAWA https://www.kadokawa.co.jp/product/201004000101/
5. ふたりの距離の概算 米澤 穂信:文庫 | KADOKAWA https://www.kadokawa.co.jp/product/201112000082/
6. いまさら翼といわれても 米澤 穂信:文芸書 | KADOKAWA https://www.kadokawa.co.jp/product/321605000347/
物語の一番最後、二人の気持ちの一致の後、「ハッピーアイスクリーム!」とみぞれが叫び、「え?アイス?別に良いけどなんで…?」といったくだりがありました。
気持ちの一致の後に再び分岐する2つの関数、のようなイメージが想起されます。
先程、私は二人の関係におけるリズと青い鳥の関係は無くなったと書きましたが、それは正確ではありません。
あの”瞬間”においてその関係は失われましたが、学校(鳥籠)はまだまだ続きます。
依然として二人の関係の間にはリズと青い鳥の存在が残り続けているのです。(だって、本番はまだまだ先ですから)
そのことを踏まえて、「ハッピーアイスクリーム!」を読み解いていきます。
ハッピーアイスクリームとは物語内で示された謎のゲームです。
「アイスクリーム食べたいなあ」と同時に言った時、先に「ハッピーアイスクリーム!」と叫んだ方が声を出さなかった方からアイスクリームを貰える、と言ったルールです。
みぞれの「ハッピーアイスクリーム!」は、セリフの一致、気持ちの一致を示すシーンでありますが、我々の感想としては精々みぞれも結構茶目っ気あるんだなあ、くらいなものではないでしょうか。(実際そういう子らしいと言うことは後で調べて知りました。
まず結論から言いましょう。
先に出て来たハッピーアイスクリームは
”Happy ice cream!!”であり
みぞれの言うハッピーアイスクリームは
“Happy I scream!!”の事でしょう。
これは、完全に自社の作品である氷菓のオマージュです。
氷菓のテーマの1つに、才能、と言うものがあります。
漫画家の才能、探偵としての才能、脚本家としての才能。
持つ者持たざる者、その関係についてこの作品はかなり重きを置いています。
みぞれとのぞみの関係は、折木奉太郎と福部里志の関係にもなぞらえられるでしょう。
「絶望的な差からは期待が生まれる」(クドリャフカの順番 P381 13行目)です。
ちなみにこのクドリャフカの順番の中の1話である14話 ワイルド•ファイアの絵コンテ、演出を山田尚子監督が担当されているそうです。
次に愚者のエンドロール。
これも第9話 古丘廃村殺人事件において山田尚子監督が、絵コンテ及び演出を担当されたそうです。
さて、愚者のエンドロールは映画を作る話です。
そして、脚本の才能の話でもあります。
ただ、今思要なのは、この物語が 視点をずらす 物語である事です。
「実に里志らしいジョークだ。基準点をずらすわけだ。」 (愚者のエンドロール P232 1行目)
それと軽く読み返している時に気づいたのですが、こんな一節もありました。
「「俺の解釈は、こうです。本郷は、ハッピーエンドを好み、悲劇を嫌ったんじゃないですか。人が死ぬ話は、それだけで嫌いだったんじゃ」」(愚者のエンドロール P238 12,13行目)
ここで、監督のインタビュー記事から引用します。
>>その上で、物語を描く視点は大切にしました。原作もTVシリーズも、語り手は主人公である黄前久美子。TVシリーズでは、久美子の目線からカメラを向けていましたが、『リズと青い鳥』ではカメラを別の位置に、真正面ではない場所にずらしたというイメージです。
愚者のエンドロールは映画を作る話ですから、当然のようにカメラの話も関わってきます(これに関する説明は長くなりそうなので省きます。
愚者のエンドロールの話はこの後にももう一度する予定ですが、今回はここで終わりとします。
結局のところ、私が言いたいことというのは、本作リズと青い鳥は氷菓シリーズのテーマに近いものを内包しているのではないか、ということなのです。
つまり、リズと青い鳥と氷菓には密接な繋がりがある、そう考えていると言うわけです。
ここから先が少し苦しいのですが、今まで私は氷菓の二作目、三作目の話をしてきました。
ここで、山田尚子監督、吉田玲子さんとの繋がりの全くない第1巻氷菓の話に移ります。
関谷純のお話です。
氷菓のネタバレになりますが、
簡単に言うと文化祭の日程を五日から三日に、平日開催を週末開催に変える、という校長の決定に反発した学生達は、反対運動を行います。
その運動のリーダーを押し付けられたのが関谷純です。
そんな中、事件が起きます。
反対運動の最中、学校の格技場でボヤ騒ぎが起きました。
火自体は大したことはありませんでしたが、格技場は消防車の水圧で半壊、学校側は見せしめとして関谷純の退学処分を決定します。
退学処分を予感した関谷純は、古典部の文集の名を氷菓と命名し、穏やかに退学していきました。
氷菓とは、ちょっとした言葉遊びです。
アイスクリーム、I scream.
この物語は千反田えるの言葉を持って締めくくられます。
「「思い出しました。わたしは伯父に、『ひょうか』とはなんのことかと訊いたんです。そしたら伯父はわたしに、そうです、強くなれと言ったんです。もしわたしが弱かったら、悲鳴もあげられなくなる日がくるって。そうなったらわたしは生きたまま…」」(氷菓 P205 13-16行目)
「「折木さん、思い出しました。わたしは、いきたまま死ぬのが怖くて泣いたんです。」」(氷菓 P206 1行目)
この先は、ぜひ、氷菓を購入してご覧ください。
さて、ここまで話をすればもうお分かりかと思います。
氷菓とは、叫び声すら上げられず、生きたまま死んでいく人間の声ならぬ叫びの物語であります。
氷菓は、関谷純の悲鳴そのものである、と言って良いはずです。
私は、関谷純こそ、ありえたかも知れないみぞれのifである、と考えています。
彼女が決心しなければ、声を上げなければ、わかり合おうとしなければ、のぞみは再びみぞれに相談することもなく、勝手に進路を変えていたことでしょう。
そしてみぞれは再び彼女、自分の全てを失い、生きたまま死んでいく… そんな未来が待ち受けていたかも知れません。
そうであるならば、あの瞬間、初めて心の通じ合った、交わったあの瞬間は彼女にとってとてつもなく大きな喜びだったのではないでしょうか。
それこそ、Happy I scream!!と叫んでしまうほどに。
さて、話は再びハッピーアイスクリームの話に戻ります。
ハッピーアイスクリームのルールについてです。
ハッピーアイスクリームとは先に言った方に言いそびれた方が、アイスクリームを送る、というものでありました。
言うまでもないことですが、Happy ice creamであれば送るものはアイスクリームしかありません。
ところがHappy I scream!!になると意味が変わってきます。
送るものはHappy、幸せということになります。
つまりわたしに幸せを下さい(のぞみとずっとに一緒にいたい、わたしを幸せにしてほしい)という告白である、と見ることもできるはずです。
端的に言うと好き!結婚して!といった感じでしょうか。
大胆な告白となるわけです。
勿論、のぞみはハッピーアイスクリームゲームを知らないわけですから、これが届くことはないわけですが。
ハッピーアイスクリームにはもう一つ意味が込められている、とわたしは考えます。
繰り返しになりますが、みぞれとのぞみにはどちらも青い鳥性を内包しています。
そして、それが一時的に失われた状態であることももう一度確認しておきます。
話は変わりますが、青い鳥、と言われて一番最初に想像するものはなんでしょうか?
Googleの検索結果を見るとこちらのページが出てきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E3%81%84%E9%B3%A5 (2018年5月3日7:17現在)
そうです。モーリス•メーテルリンクの童話、青い鳥です。
青い鳥、と言うよりかは幸せの青い鳥、の方が通りが良いかも知れません(この文を書くために調べるまで私も青い鳥ではなく、幸せの青い鳥だとタイトルを勘違いしておりました)
Wikiからの引用です。
>>2人兄妹のチルチルとミチルが、夢の中で過去や未来の国に幸福の象徴である青い鳥を探しに行くが、結局のところそれは自分達に最も手近なところにある、鳥籠の中にあったという物語。
くどいようですが、リズと青い鳥は悲劇です。
そうであるならば、この物語は青い鳥、とは逆の物語となっているはずです。
つまり、鳥籠の中には幸せはない、となるわけです。
実際、のぞみとみぞれは学校(鳥籠)のソトで初めて気持ちを重ねそして歓喜の叫び声をあげます。
つまり、二人にとってリズと青い鳥は、リズであること、青い鳥であることは呪いである、と見ることができるはずです。
つまり、ハッピーアイスクリームとは青い鳥という忌語を隠すためのおまじないである、と言うわけです。
この文脈での意味はこうなります。
「ずっとずっとそばにいて、私の青い鳥」
ここで、もう一度確認しますが青い鳥とは幸せの青い鳥であります。
しかし、その一方でこの物語における青い鳥は別離の象徴です。
つまり、こうです。
“私達はリズ達とは違う、違うと思いたいという願い(物語はハッピーエンドが良い)”
であり
”物語上逃れられないその単語をラストに持っていくための手段”
それがハッピーアイスクリームであります。
リズと青い鳥は別れの象徴、呪いの名であります。
ですが、この作品のタイトルはリズと青い鳥で、みぞれとのぞみがリズと青い鳥ならば、この運命は逃れられないものである、となることでしょう。
だからこそこの言葉は祈り、願いなのです。
監督のインタビュー記事から引用します。
>>山田 そう言っていただけるとうれしいです。私自身は2人に「添い遂げてほしい」派なんですよ。 だけど原作を読んでいると、つくり手としての自分が2人の関係性をいじってしまうことが一番不幸なことだと思ったんです。
みぞれが幸せの未来を願ったように、監督もまた、二人が添い遂げる未来を願ったのではないでしょうか。
つまりこの物語は箱庭からの脱却、停滞からの脱出、それを夢見る物語であった… これが私のリズと青い鳥という物語に対する見解となります。
しかし、これは物語の話です。
物語には結末が必要、おしまい、の一言が必要になってくるはずです。
…ここで、少し変だと思うところはありませんでしょうか?
まずは、物語る亀さんのブログより抜粋させて頂いた一文を見て頂きます。
>>“舞台挨拶で山田監督も『望美は強い女だから道を変えるかもしれない』と語っている。”
(『リズと青い鳥』ネタバレ感想&考察、解説 本作に込められた『愛』の演出を紐解いていく - 物語る亀 http://blog.monogatarukame.net/entry/LISU_bluebard_2 映画 けいおん! のアンサー作品として 6段落1,2行目から抜粋)
更にもう一度、監督インタビューを引用します
>>山田 そう言っていただけるとうれしいです。私自身は2人に「添い遂げてほしい」派なんですよ。 だけど原作を読んでいると、つくり手としての自分が2人の関係性をいじってしまうことが一番不幸なことだと思ったんです。
お分りいただけたでしょうか。
”「添い遂げてほしい」派なんですよ”と、 ”望美は強い女だから道を変えるかもしれない”というのは、不思議な言い回しだと思いませんか?
つまり、私の言いたいことはこうです。
そう思うなら物語を結末を変えれば良いのではないでしょうか?
監督には、この作品を作る人間にはその力があります。
多少は炎上するかも知れませんが、散々物語はハッピーエンドが良いと書いてきたわけですから、私達だってそれを受け入れる覚悟ができているはずです。
今更何を恐れる必要があるというのでしょうか?
勿論、その答えはすでに述べられた通りです。
”だけど原作を読んでいると、つくり手としての自分が2人の関係性をいじってしまうことが一番不幸なことだと思ったんです。”
先にも述べた通り、これは祈りの物語です。
私たちの誰一人として、この物語のずっと先、未来の話を知りえません。
もっと言うと我々は、誰一人として、勿論監督ですら、この物語を理解しているとはいえない訳です。
だって、誰も彼女たちの心の中で見ることはできないのですから。
描かれなかったものは見ることは出来ません。
決定されていない事柄は自由です。
どんな突拍子のない結論ですら、この物語は飲み込んでしまうことでしょう(ちなみに私は二人が仮面ライダーM(ターンダブル)になる妄想をしました、名前がのぞみぞれで対になってていい感じだと思うんです)
ここで、またインタビュー記事を引用します。
>>山田 これまでは、一言でそのキャラクターのことがわかるようなセリフを用意することが多かったと思います。キャラを立たせるために、抑揚を強めにしているので。 対して『リズと青い鳥』は、ひとつのセリフを90分かけて言ってもらうような密度だと思うんです。90分かけて、やっと2人の女の子のことがわかるというような引き伸ばし方をしているので、一言で言い切らない、抑揚を控えめにした演技は大変だったかもしれません。
リズと青い鳥が眠くなる、つまらない作品と思われる理由はここに集約されると思います。
緻密に作られたダイナミックコードみたいな話の構造をしている訳ですから、そりゃあ眠くなるだろうなあ…という感じです。
結論に行きましょう。 この物語は決意する話です。
結論を出す話ではありません。
もっと言うのであれば、この物語には初めから結論など提示されてはおりません。
私たちは90分に渡って長い長いあらすじとキャラ紹介を見ていただけだと言うことになります。
しかし、それほど長く見てきたと言うことは、この物語が多くの含み(考察出来る、想像できる要素)があると言う事です。
つまり、この物語はたくさんの結末を許容する物語である。
私はそう確信しました。
舞台挨拶から引用します。
>>最後に山田は「一見静かな映画と思うかもしれませんが、少女の機微が本当にお喋りな作品」と作品を振り返りつつ、「映画館でしか聴こえないような(音もある)音響設定をしていて、かなりマニアックな状態になっている。よかったら映画館でたくさん観てほしい」とメッセージを届けた。
つまり、この作品は何度も鑑賞されることを前提に作られた物語であり、それは見る時のあなたの気持ち、思い、感情で色を変える、そんな作品であると言い切ることができるはずです。
上記にある通り、映画館で見るリズと青い鳥と、家でDVDで見るリズと青い鳥は異なるものになることでしょう。
それほど、この物語は見られること、を考えられた作品であると言える訳です。
さて、ここで再び愚者のエンドロールの話に戻ります。
私は、私達がこの映画に対して、何かを言うこと、思うこと(二次創作は勿論考察に至るまで)全てがリズと青い鳥という物語を組み上げること、シナリオを作ることと同義である、と言う風に書きました。
これは、愚者のエンドロールという物語のシナリオそのものです。
もう一度監督のインタビューを引用します。
>>その上で、物語を描く視点は大切にしました。原作もTVシリーズも、語り手は主人公である黄前久美子。TVシリーズでは、久美子の目線からカメラを向けていましたが、『リズと青い鳥』ではカメラを別の位置に、真正面ではない場所にずらしたというイメージです。
次に、愚者のエンドロールからも引用をします。
「「本郷はそのままでは悪者です。脚本を放り投げたとして、厳しく糾弾されたでしょう。だからあなたは、本郷を『病気』にした。脚本を『未完成』にした。そのほうが傷が浅いと見たんだ。あなたはあなたのクラスメートを集め、推理大会を開いた」そして。「そして、そうと見せかけ実際はシナリオコンテストを行った。脚本を書けと言われれば誰しも尻込みする。だから、本郷を大義名分に立てて、あなたは推理させたんだ。クラスメートの成績が芳しくないと見るや、俺たちも巻き込んだ。誰も、俺も、自分が創作しているとは気づかなかった。あなたによって恣意的に、基準点がずらされていたからだ。俺の創作物は本郷のそれに入れ替わり、本郷は傷つかずに済むと言う寸法です。違いますか?」」 (愚者のエンドロール P242 6-15行目)
長く引用させて頂きました。
実は、この話には続きがあり、この策士の考えは別のところにあることが明らかになります。
誤解を恐れずに言わせて頂きますと、私は、それこそが監督の真意なのではないかと思っています。
これから先は愚者のエンドロールを読んで察してください。
私の口からは畏れ多くてとてもではないが言えません。
さて、こんな、拍子抜けする結論を導くために長々と本当に長々と書いて参りました。
お付き合いありがとうございました。
リズと青い鳥を見ずにここまで読んでくださった方には、是非、これから映画館でこの作品を見て頂きたいと思います。
これは、あなたの物語です。
ですから、様々な考察ブログを見てあなたの感じた何かが揺らいでしまった。
その考えに根拠を見出すことができなくなった方には、愚者のエンドロールのあるお方の言葉を借りて、このように訴えさせていただきます。
「別にいいでしょう、根拠くらい」
もう一度言います。
これはあなたの物語です。
この物語の結末は、誰もが自由に描くことができるものです。
私は勿論、のぞみもみぞれもハッピーエンドが良い…と言うとは思いますが、そのハッピーエンドの定義は人によって異なるものです。
この物語においては、全ての結論は正しく間違ったものとなることでしょう。
ならば、恐れる必要はありません。
貴方はどんな結末を、どんな意味をこの物語に見出すのでしょうか。
是非、その感想を、考察を、思いを、文字に、形にしてください。
それが生み出されること、誰かの描くハッピーエンドが形になること、それが、それこそが、リズと青い鳥という物語になっていくのです。
最後の方は殆ど氷菓の話となってしまいました。
ならば最後はかっこよく、この物語を読み解く探偵気分の推理作家紛いとして、こう締めくくらせて頂きます。
クドリャフカの順番の言葉を借りましょう。
『リズと青い鳥』は、『愚者のエンドロール』によって予告されていた、なんて笑
終わりに
稚拙で長い文章にここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました。
当記事は最初、私のツイートをtogetterでまとめる形で製作されていました。
が、エラーで全てのデータが消えてしまい、急遽このようなブログ形式での投稿という形に変更させて頂きました。
記事自体は二日で製作できましたが、映画を見終わってから3日が経過したこと、記憶が新鮮なうちに書いたデータが消えてしまったことなど、作品を考察するにあたって不安を感じることがいくつもありました。
また、内容が進むにつれて、私は誰に対して、どのような人に対してこの記事を書いていたのか、が分からなくなってきました。
それでも、なんとかここまでたどり着けたことはうれしく思いますし、自分の考察に対してそれなりに自信を持ってもいます。
何より、私の出した結論が、ありとあらゆるこの物語に対する考察を許容するものとなったことは非常に嬉しく、この考察なら100通りの読み方が出来る、という自負もあります。
文章ははじめに、と終わりに、がまるまる差し替えられていたり、こちらには雑味が多過ぎるとしてカットした考察もいくつかあり、いくらか反応をいただけたならそれも形にできたらいいなあと思っています。
最後になりますが、当記事がリズと青い鳥、もっと言うと山田尚子作品、欲を言えばたまこラブストーリー、たまこまーけっとに興味を持ったり、より好きになるきっかけになってくれたのであれば、それに勝る幸せはありません。
そしてもう一つ、厚かましいお願いではありますが、コメント等の反応を頂けると、この記事が読者の方にとってどういう風に見て頂けたのか、そもそも読んでくれた方がいるのかと言った不安が和らぎますので、何か反応をいただけると嬉しいです。
本当にありがとうございました。
修正箇所
告白のシーンの記事から、これはリズと青い鳥、の役割からの解放を意味していると考えます。すなわち、そこにいるのはリズでも青い鳥でもない、ただののぞみとみぞれです。(ところで、大好きのハグは友達通しでするものです。 みぞれの好き、は愛的な好きでありますがのぞみのフルートが好き、はもっと複雑な思いであることは監督インタビューからも読み取れると思います。)から( )内の文章の一部変更 2018/5/4 20:04
理由 デカルコマニーというテーマ性を意識するとこれが単純に友達同士のハグとは思えず、様々な見方ができると思われ当記事の内容として相応しくないと判断したため。